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迷えるデカ羊(仮)

迷えるデカ羊(仮)

~「重松清」のページ~

重松清(しげまつきよし)作品のページ
最近になって読むようになったので、実はコノ人あまり良く知りません。
いくつか読んでみての実直な感想ですが、
非常に表現力の上手い小説を書きます。
現代におけるリアルをテーマに皮肉や哀愁といったものを得意としているようです。

別のペンネームを幾つももち
フリーライターと2足のワラジを見事に履きこなすことでも有名です。
正確にはフリーライターから小説家になったとか
コラムなど小説以外の執筆も年間百本以上こなすマルチな人です。

ライターとして色々な人と交わる機会が多いそうで、
そういったところも小説に生きているのでしょうか。

99年坪田譲治文学賞受賞。99年山本周五郎賞受賞。第124回直木賞受賞。
代表作:ビタミンF、エイジ、ナイフ など






その日のまえに ●「その日のまえに(そのひのまえに)」●

出版社:文藝春秋 ( (2005/08) 
評価:☆☆☆☆☆
解説:
死をテーマにした連作集。
正直今年一番の作品でした。
こんなに素直に泣いた作品も珍しい。
ホント急に不意をつかれたように泣いてしまった。
なんというか上手すぎ。
身近な死を知ってる人や大事な誰かをもってる人は辛いかも。

”その日”っていうのは、最期を迎える”その日”です。
”その日”の前、
迎えた”その日”
”その日”の後
その人や周りの人がどのように過ごすか。
はっきりいうと世界は変わらず廻り明日は来ます。
悲しいとか悔しいとか辛いのは本人や周りの人の気持ちだけなんだなと。
それも時間が静かに流れて人の心も変わります。

二つほどのエピソードが身近にあったことにフィードバックしました。
とはいえリアルと比較して読むべき本ではないですね。
小説は小説です。物語でしかありません。





ビタミンF ●「ビタミンF(びたみんF)」●

出版社:新潮社 (2003/06) 
評価:☆☆☆☆
解説:
現代のオヤジって呼ばれる人達を主役に置いた短編集。
こんなはずじゃなかったっていう話です。
くらーい現代を象徴するような出来事ばかりの中
最期にはちょっとした救いというか、清涼剤というか、

うまくいかないし、つまらないことばかりの世の中だけど
それでも捨てたもんじゃないって思わせます。

ビタミンFなんていう栄養素はありませんが、
目に見えない人生のサプリメントっていうことかなと。





口笛吹いて ●「口笛吹いて(くちぶえふいて)」●

出版社:文藝春秋 (2004/03) 
評価:☆☆☆☆
解説:
現代のオヤジって呼ばれる人達を主役に置いた短編集。
ビタミンFの姉妹本のような気がしますが、
こちらは完璧に負け犬と表現されてしまったオヤジの話が中心です。

若くも無い、年寄りでもない中途半端な世代。
負けに慣れてしまった人。
全てにやる気をなくした人。
挫折し、それでも前向きに生きなくちゃいけない人。
問題ばかり抱えて生きて、解決しないのにまた新しい問題を抱えて
乗り越えて、頑張って、疲れて。
明るい話なんかより暗い話のほうが身近なんだよと。

まぁ現実も似たようなもんで、大人になればなるほどつまらないことばかりかと。
そんな中でもやっぱり頑張ってやってかないと。
心の中で口笛吹いて、またがんばろうかって。
そんな話です。





きよしこ ●「きよしこ(きよしこ)」●

出版社:新潮社 (2005/07)
評価:☆☆☆☆★
解説:
吃音を持った少年の成長を綴った連作。
一応同じ吃音をもった少年の為に、作中の作者である本人が
メッセージを込めて自分の若い頃の物語を書くといった内容です。

社会に出て判ったことですが、
吃音って実はあまり知らない人多いんですよね。
”どもり”とか”ごもり”とか色々表現ありますけど、全部同じです。
私も非常に軽度ではありますが吃音持ちです。
感情が高ぶったりすると今でもたまに出ますが、
別に生活に支障がある訳でもないですし、
普段は普通に話しています。

それに主人公に自分を投影するほど感傷的な人間でもありませんし、
物語を読むうえでリアルを持ち出すなんて
感動を損なうだけでなんの得もありません。
たまに「た」行から始まる言葉が嫌だとか出てくると納得する程度のもんです。

話はそれましたが、青春小説として非常に面白いと思いました。
主人公が辛いことや悲しいことがあったときにどうやって乗り切るのか
成長ってこういうことをいうんだなと関心です。
彼は非常に強いと思いました。
彼の強さに少し憧れもしました。
と思う反面自分の若い頃にもこういう強さを持っていたのかなと思ったりしたり。
同世代の男性だったら是非一読してみてほしいと思います。





きみの友だち ●「きみの友だち(きみのともだち)」●

出版社:新潮社 (2005/10)
評価:☆☆☆☆☆
解説:
今年嫌なことばかりでしたが、重松清の小説に出会えたことは本当によかった。
素直にそう思えるぐらい完成度の高い作品ばかりです。

こちら作者が自分の娘に読んでほしいと思って書いた作品。
ある姉弟の成長を中心に廻りにいた人々の話を描いた連作です。

「友だち」って人によって千差万別なんですよね。
何を基準に友だちなのか、親友ってなに?とか誰しも必ずは考えるはず

筆者が思う友だちの形。ん~形・・・。いろんなかたち・・・。
他に表現しようがないんですが、友だちってどういうものなのか。
ってことを伝えてくれます。




疾走(上) 疾走(下) ●「疾走(しっそう)」●

出版社:新潮社 (2005/10)
評価:☆☆☆☆★
解説:
なんていいますか、、、途中あまりに救いがなくて読むのが辛かったです。
ただ、最期の結末に向けて、なんとなくわかる気がしました。
理屈でなくなんとなくです。
寂しさが残るんですが…
うん、疾走したいってことなんだろな。疾走するしかないんだろうな。







エイジ ●「エイジ(えいじ)」●

出版社:新潮社 (2004/10)
評価:☆☆☆★
解説:











流星ワゴン ●「流星ワゴン(りゅうせいわごん)」●

出版社:新潮社 (2004/10)
評価:☆☆☆☆
解説:
人生に疲れた男が、死んだ親子と自分の過去。人生の岐路を巡る旅に出る話。
よくできた展開と、構成で大満足。
重松さんの小説読むと、途中でこりゃ駄目かなと思わせといて
最期で良い意味裏切るものばかりですな。

オチをいうと結局過去は変えられないんですが、
過去を知ることで、生きることへの希望を持つ主人公に救われました。
途中主人公の奥さんが許せなかったんですが、
全てを受け入れてやり直そうとする主人公を見ると
家族ってこういうもんなんかなと思ったり…



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